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僕は君を連れてゆく

第54章 ただひとつの答え

潤を拾ってから半年がたった。

言い換えると、潤と恋人になって半年が過ぎた。

潤の家は以外に近くて、正式に恋人になったから、俺は挨拶に実家を訪ねた。

潤のご両親は驚かれていたが、潤の人生だから、と同棲を許してくださった。

そして、勉強も。

バイトを続けながら成績を維持出来るようにするにはどうしたらいいのか、考えた。

そうしたら、人事部の部長 まさみさんに
「あなたがもっと家事をやればいい」と言われ
気がついた。

俺が潤に甘えすぎてて潤の勉強の時間を奪っていたんだ。

潤が来てから毎日、溜めてた風呂も休日の前だけにしたり。

朝御飯はなるべく一緒に食べたい、なんて言ってくれるから朝は必ず起きるようになって朝御飯を準備する潤を見ながら回してあった洗濯物を干す。

家庭内で家事の分担をするようになった。

「はーい、出来たよぉ」

「うぉ、うまそう」

「今日、ゆっくりだから頑張っちゃたぁ」

フルーツにパンケーキ、生クリーム。

カフェで出てきそうだ。

「今日はお弁当もありまーす」

「マジ?ラッキー」

パンケーキにナイフとフォークを入れて。

「しょおさん、ついてる」

「ん」

「ん?」

「んー」

「もぉ、しょうがないなぁ」

人差し指で俺の唇の端についたクリームをとってくれる。
そして、それを潤は舐めた。

「今日は早く帰ってきて?」

「ってりめぇーだっ!超特急だよ」

これは、今夜のお誘いにちがいない!

甘い甘いパンケーキをほほ張りながら、
めくるめくる夜のことを考えた。

「しょおさん、やらしい」

「別にやらしくないぞ!素直と言うんだ!」

「そういうのがおじさんなんだよなぁ」

「あぁ!そういうこと言う!」

キャッキャッ笑う潤を見る目がどうしても、
優しく、やらしくなってしまうのは許してもらいたい。

これでも、かなりの我慢をしているんだ。

自分でさえ気がつかない気持ちがあった。

ごまかしたい気持ちがあった。

シンプルに目の前を見つめたら、辿りついた。






【End】

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