僕は君を連れてゆく
第56章 アラパラッチ
「うん、よく撮れてるじゃない」
原稿をチェックしたあと、現像した写真をデスクに並べて品定め。
そこから原稿に差し込む写真をピックアップしていく。
「あとはもう少し、密着した写真があれば完璧よ」
「はい、次は逃しません」
「……逃しません?」
鬼の形相で私の顔を見上げた。
しまった……
完全に墓穴を掘った。
「まさか……また?」
「つい……夢中になってしまいまして」
「バカヤロー!!!!!」
編集長のお決まりの怒鳴り声がオフィスに響く。
「申し訳……ありません」
私は不貞腐れる顔を見られないように頭を下げる。
でもそれは……私だけのせいじゃない。
新人の時に私の指導者だった編集長にも責任がある。
「その1枚で売り上げ部数が変わるんだから!しっかりしなさいっ!」
編集長の言っていることは理解できるし、間違いない。
ベストな写真を撮り逃すのはプロとして失格だ。
でも、本当にそれだけの理由で怒ってる?
「もー、見たかったのに」
ポソッと呟いた言葉を聞き逃さなかった。
私の耳は記者の耳。
どんな小さな声も聞き逃さない。
それが誰にも負けない私の強み。
「はい、わかりました」
「ちょっと、待ちなさい」
逃げるように立ち去ろうとする私を引き留め、呼び戻す。
「あとで詳細、教えなさいよ」
誰にも聞こえないように私に耳打ちをした。
ほーら、やっぱり。
これが熱愛スクープなら言われることはない。
今回の記事はKing&Princeの食事会。
店は個室だったので中の様子は撮れず、出てきたところを撮った。
和気あいあいと出てくる中、お酒も入っていているせいかスキンシップも過度だった。
そんなのを近くで見せられたら、レンズ越しではなく自分の目で見たくなるのがジャニーズファン心理。
だから毎回、その誘惑に負ける。
でも撮り逃した写真一枚で売り上げ部数が変わる。
そして何より……編集長の機嫌もだ。
原稿をチェックしたあと、現像した写真をデスクに並べて品定め。
そこから原稿に差し込む写真をピックアップしていく。
「あとはもう少し、密着した写真があれば完璧よ」
「はい、次は逃しません」
「……逃しません?」
鬼の形相で私の顔を見上げた。
しまった……
完全に墓穴を掘った。
「まさか……また?」
「つい……夢中になってしまいまして」
「バカヤロー!!!!!」
編集長のお決まりの怒鳴り声がオフィスに響く。
「申し訳……ありません」
私は不貞腐れる顔を見られないように頭を下げる。
でもそれは……私だけのせいじゃない。
新人の時に私の指導者だった編集長にも責任がある。
「その1枚で売り上げ部数が変わるんだから!しっかりしなさいっ!」
編集長の言っていることは理解できるし、間違いない。
ベストな写真を撮り逃すのはプロとして失格だ。
でも、本当にそれだけの理由で怒ってる?
「もー、見たかったのに」
ポソッと呟いた言葉を聞き逃さなかった。
私の耳は記者の耳。
どんな小さな声も聞き逃さない。
それが誰にも負けない私の強み。
「はい、わかりました」
「ちょっと、待ちなさい」
逃げるように立ち去ろうとする私を引き留め、呼び戻す。
「あとで詳細、教えなさいよ」
誰にも聞こえないように私に耳打ちをした。
ほーら、やっぱり。
これが熱愛スクープなら言われることはない。
今回の記事はKing&Princeの食事会。
店は個室だったので中の様子は撮れず、出てきたところを撮った。
和気あいあいと出てくる中、お酒も入っていているせいかスキンシップも過度だった。
そんなのを近くで見せられたら、レンズ越しではなく自分の目で見たくなるのがジャニーズファン心理。
だから毎回、その誘惑に負ける。
でも撮り逃した写真一枚で売り上げ部数が変わる。
そして何より……編集長の機嫌もだ。