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僕は君を連れてゆく

第56章 アラパラッチ

「編集長!!!スクープです!!!あの5人がっ!!!!!」

徹夜して書き上げた原稿と現像した写真をデスクに広げた。

私の言葉に記事の中身を理解した編集長は、釘いるように原稿を読んでいた。

「これは……間違いないの?」

「はい、間違いないと思います」

「事務所は……認めた?」

「いえ、認めてはいません」

活動休止の情報も発表の日まで漏れることは無かった。

だからきっと問い合わせをしても認めてはくれないと思った。

でも活動再開の準備ができている事は間違いない。


翔くんは大学卒業と同時に報道番組のメインキャスターに抜擢。

潤くんは毎年、舞台の演出をしていたが、今年は吉田鋼太郎さんの演出の舞台に出演。

相葉くんはバラエティーのロケを、海外中心から国内ロケへと変更。

ニノは監督として毎年映画を公開していたが、今年は役者として映画に出演。


今年に入り、それぞれの仕事内容が大きく変わった。

そしてその変化は、何かの時間を確保するための様に思えた。


その何か……それはひとつしかない。


「これは、本当なの?」

編集長はある文章を指差した。


それは大野くんが言った言葉。


『また、よろしくな』


「はい、それは本当です。そしてこれがその証拠です」

デスクに広げられた写真の中から1枚の写真を取って差し出した。

そこには少しだけ泣きそうな大野くんに向けて、最高の笑顔を見せる4人の姿。

「これと同じです。だから……間違いありません」

私はポケットからある写真を取りだして渡した。


その写真は編集長が撮った、嵐が最後に集まった日の写真。


その頃に比べちょっとみんな歳をとったけど……

あの日と同じ『嵐』がそこに写っていた。


「編集長、お誕生日……おめでとうございます」

「えっ?」

「最高のプレゼントですよね、これ」

「ふふっ、そうね。最高のプレゼントだわ」


プレゼント……

それは『嵐再始動』のスクープ。


【end】

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