僕は君を連れてゆく
第57章 名前のない僕ら ―身勝手な恋心編―
「…んぁ…やだ」
リビングのソファーに兄さんを沈める。
キスをしながら、兄さんから漏れる声も
飲み込むように口のなかをかき回す。
シャツのボタンを外そうと体を離すと
やっぱり、兄さんの体は震えてて。
「好き…なの?兄さんは、相葉センパイが好きなの?」
兄さんは固く閉じてた目を見開いた。
その瞬間、俺のなかでナニかが弾けた。
乱暴にシャツを脱がそうとしたけど、袖のボタンが引っ掛かってうまく、脱がすことが出来ない。
「痛いって、やめろ」
「好きだろ?やめろとか言ってけどさぁ」
「やだっ…」
シャツを脱がすのを諦めて、兄さんをひっくり返す。
自分のズボンのファスナーを下げて、自分のを取り出す。
「あぁっ!!やだっ」
やだ、やめろ、これしか言わない。
気持ちいいって、言え、言ってくれ。
カチャカチャとベルトを外してズボンと下着を一緒に脱がす。
兄さんの白いお尻が現れて。
「待てっ」
濡らしてもない、ましてや、勝手に濡れもしないソコに自分のを押し込む。
「くっ…うっ…やだぁ、やだぁ」
「うるせぇ、うるせぇ、」
「痛い、やだぁ、やだぁ」
なんで、挿入らない?
兄さんは俺を受け入れてくれないのか。
「好きじゃ…」
「うるせぇんだよ」
「好きじゃねぇよ!」
泣き叫ぶ、兄さんの声がした。
ドサッと力の抜けた兄さんの下半身はソファーに戻っていって。
俺のギンギンに硬くなったモノの尖端には血液が。
それを見た途端、ハッと我に返った。
「兄さん…ごめ、ごめん、俺…」
兄さんの体はやっぱり、震えてて。
兄さんに触れようと伸ばした手を、やっぱり、兄さんは叩いた。
「俺は…お前のおもちゃじゃない…」
フラフラと立ち上がり部屋を出ていく兄さん。
おもちゃなんて思ってない。
大切にしたかったのに。
兄さんが居たソファーには赤い染みが出来ていた。
【続く…と思う】