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僕は君を連れてゆく

第59章 巡る季節のなかで

Kazunari




二人でテレビを見ながら夕飯を食べてて。


「そうなんだ~!和は母ちゃん似なんだね」

「え?」

「父ちゃん似じゃないってことでしょ?」

なんの話をしてたんだっけ?

「和の母ちゃんか…、綺麗なんだろうね」

テレビのなかで、あるアイドルが母親と同じところにほくろがある、という話をしてて。

雅紀さんは自分の親のどこにほくろがあるかなんて知らないって、でも、母親に似てるって話してた。

それで、俺はどちらに似てるの?って聞かれて。


「俺さ、双子なんだ」

「え?そうなの?」

そうだよね。
初めて言うもん。

「うん…全然、似てないけどね」


ビックリするよね。


「へぇ~、和の双子の兄弟か…会いたいな」

「…俺は…会いたくない…ってか会えない」

「…っえ?」

「母さんにも、俊にも…会いたくない…向こうも俺になんて会いたくないだろうし…」

「………」


雅紀さんの携帯が鳴って。


ここで、会話が終わった。


フラフラしながら、家に寄り付かなくなった俺は
今さら、ますます帰りにくくて。


最近では滅多に母さんから連絡は来なくなった。
だけど、俊からは今でも週に2回くらい連絡がきてる。


返事なんてちっとも返してないのに。


必ず、連絡がくる。


家に帰ってごめんなさい、って謝りたいんだけど…


俺のミジンコよりも小さくて、くだらないプライドが邪魔してなんにも出来ていない。

それに、今、お世話になってる雅紀さんのご両親は優しくて。

居心地が良すぎて、一度、背を向けたことに真正面から向き合うことが怖くて、怖くて仕方ないんだ。


笑っちゃうくらい臆病で。


でも、もう一度帰りたいんだ。


雅紀さん、俺、頑張ってみようかな。


だから、聞いてくれる?






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