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僕は君を連れてゆく

第59章 巡る季節のなかで

◇◇◇
俺には、父さん、母さん、そして、双子の弟の俊介がいる。


父さんも母さんも優しくて。


双子の俺たちを胎内に宿した時は
それはそれは、喜んだって。


なかなか授からなかった命。
それを一度に2つの命が母さんのお腹にやってきたと。


先にお腹から取り出されたのは俺、和也。
次が俊介だった。

男の子二人の子育ては毎日、戦争だったって。


泣くのも同じで。
俺が泣けば、俊も負けじと泣く。


俺が眠ると俊が起きて。
俊が眠ると俺が起きて。


父さんと交代ずつおぶってたんだって。


いつも、お揃いの洋服を着てた。


顔は全然、似てないのに俺も俊も左利きで。


初めて好きになった女の子も同じ。
幼稚園のときのさっちゃんだった。

オカッパで元気で、俺たちより少し背が高くて。

二人ともさっちゃんと遊びたくて。
俊の邪魔したり、邪魔されたり。

なかなか、さっちゃんと二人きりでは遊べなかったんだよな。

小学生になっても、俺たちはあまり背が伸びなくて。

それでも、同じときに風邪をひいたりして、
母さんにこんなところまで仲良くならないで、って言われたな。

父さんのすすめで俺たちは野球を習い始めた。


俺がキャッチャーで俊がピッチャーだ。


俊の球を受けれるのは俺しかいないって。


バッテリーを組んで俺たちは試合にも出た。


今思えば、地元の草野球チームだったから。
遊びの延長って感じで。

やりたい!という俺らにその役を回してくれてたんだろう。






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