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僕は君を連れてゆく

第61章 名前のない僕ら =僕らの幸せ編=

【雅紀の幸せ】



鼻の頭を赤くして眠ったニノの顔をそっと、覗きこんだ。

本当はあのまま、キスでもしてやろうか、なんて
考えていた。

だけど、弟くんの名前を呼びながら泣くニノを見ていたら、胸がギュッーとなってただ、ニノを抱きしめた。

俺には分からない気持ちがそこにあって、それが
ニノと弟くんを確実に繋げているのが分かって。

目にかかる前髪をそっと鋤く。

くすぐったいのか、顔を反対側に向けて眉間にシワを寄せた。


「ウフフ…可愛い…」


ずっと、好きで。
好きで。

少し気の強くて、可愛い女の子に振り回されてる
ニノを想像してた。

俺に初デートのこととか、相談してきて。

俺がからかうと真っ赤にした顔で唇を尖らせて怒鳴るニノを。

男なら…
男だったのか…

だったら、俺でも…

「ニノ…好きだよ…」


堪えきれない涙が溢れてきて。

聞こえてはいないだろうニノに向かって呟く。

「うっ…ぅ…」

ニノ、ごめんね。

こんな俺で。

でも、忘れないで。

俺はお前と一番の友達と思ってる。

ニノもそうだよね?

だから…

ニノ…

これからも、友達でいてくれる?


ニノ…

これからも、俺はニノの味方だよ。


ニノ…


気がつくと朝になっていた。

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