僕は君を連れてゆく
第64章 カモン ブルー SO
「今日もめちゃくちゃ、いい天気だね」
「うん…寝そう…」
学校の屋上から見下ろせるのは中庭だ。
この時期になると中庭の葉っぱたちもだいぶ落ちてしまって寂しい感じになるけど。
裏門はいちょうの木が立っていて黄色く色づいてきてる。
ちなみに正門は桜だ。
秋ってのはだんだんと昼の時間が短くなっていくけれど、その昼の時間は最高に心地よい。
「ねぇ、翔くん」
「うん?」
「さっきの話だけどさ…翔くんも見たことあるの?」
「何を?」
「ニノとか相葉ちゃんとか言ってたじゃん。AVって…」
「…」
「みんな見たことあるみたいだったよね?あれって20才にならなきゃ見ちゃ行けないんだよね?」
「…」
「ヌクって、なに?何をヌクの?シゴクとかさ…英語?俺、聞いたことない言葉ばっかりなんだけど…」
「…」
「ねぇ!翔くん!聞いてる?」
「…」
「寝ちゃったの?」
「…」
「なぁんだ…あとで、ちゃんと教えてね?」
寝てはいない。
ただ、目を閉じて智の話を聞いてた。
聞いてわかるように、智はソッチ関係にうとい。
今までどんな生活をしてたんだろうか?
今でもガラケーだし。
あたたかくて心地よい秋の陽射しを浴びながら、
少し昼寝でもしちゃおうかな、って思ってたのに。
智のせいで、全然寝らんなかった。
いちいち、説明すんのめんどくせぇんだけど。
つうか、なんで俺に聞くんだよ。
あのとき、雅紀たちに聞けばいいのに。
「翔くん…」
「うん?」
「ほら!やっぱり、起きてるじゃん!」
「ねぇ、教えて?ね?」
「雅紀に聞けよ!」
「えー!相葉ちゃんの話、よくわかんないんだもん!翔くんも知らないの?」
「知ってるつーの!」
「翔くん、何でも知ってるから!頼りにしてる」
智は俺の膝に頭を乗せて寝転んだ。
「なぁにしてんだよっ!」
「いいじゃん…あぁ…気持ちいいなぁ」
なんで、膝枕なんてしてやってんだろう。