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僕は君を連れてゆく

第64章 カモン ブルー SO

この間ってのは、あの日のことだよな?

「一人でチンコ触ってみても全然なんだよ」

「エロいこと考えろよ」

「エロいこと?例えば?」

「だから、好きな芸能人の裸とかさ」

「う~ん…ねぇ、もう一回してみてくれる?」

「え?」

「いいでしょ?お願い!翔くん」

俺を見つめて、お願いする智。

智の声、顔。

「じゃぁ、智の家、行っていい?」

「うん!」

それから、午後の授業は全然頭に入ってこなかった。

携帯で男同士のアレコレを調べて。

ヌクだけじゃなくて、もっと、他のなにかを。

「櫻井!そんなに俺の授業はつまらないか?」

頭をポンと叩かれて顔を上げたら数学教師の松潤が俺の前に立っていた。

教科書を丸めたもので叩かれたんだろう。

「悩みごとか?」

松潤は、愛称ってやつで、本名は松本潤だ。
派手な顔だけど生徒から信頼は熱い。
野球部の顧問をしててニノはかなり懐いてるように見える。

「いえ、別に」

俺はなんとなく苦手で。
なんか、近づくとすげぇいい匂いだし。
顔も手もなんか白くて。
なんか、なんか苦手なんだ。

「さぁ、テストが終わったからってみんなも気を抜かないように」

そんなこと言われても俺の頭のなかは、あの日の智の顔や声を思い出すばかりで。

やっぱり、授業は頭に入ってこなかった。

「櫻井!これ、職員室まで運んでくれ」

早々に帰ろうとした俺に松潤はめんどうなことを頼んできた。

「俺、待ってるから」

松潤の授業なんて全然聞いてなかったから、その後ろめたさもあったし、何より、頼まれたら嫌と言えない性格だから。

「わかりました。智、待ってて」

教材を持って職員室へ急いだ。



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