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僕は君を連れてゆく

第64章 カモン ブルー SO


教室に入ると智と雅紀はもう来ていた。

「おはよー」

「おはよう」

「なんか二人とも元気ないね」

智は俺とニノを交互に見て言った。

「寝不足でね」

「まぁ、そんなこと」

「ねぇ、聞いた?相葉ちゃん、告白されたんだって」

「聞いたよ」

「その先輩と付き合うの?」

「え?付き合ってるんじゃないの?」

ニノから聞いた話と若干違うような。

俺はニノを見た。

ニノは雅紀をじっと見つめていて。

「付き合うんじゃないの?」

「いや、その…」

「嘘なの?」

「嘘っていうか…あの…」

「ふざけんなっ」

ニノは一度下ろした鞄をもう一度、抱えて教室から出て行った。

「ニノっ」

三人でニノを呼ぶ。

「相葉ちゃん、追いかけなよ」

「でも…」

「なんだかよくわかんないけど、今、追いかけないと後悔するよ」

「行け!雅紀!」

「行ってくる!」

雅紀はニノを追いかけていった。

「…」

「…」

ドラマみたい。

「なんか、映画みたいだね」

映画ね。

「うん…」

「うまくいくね」

「え?そうかな?」

「うまくいくよ」

「でも、嘘ついてるんだろ?」

「ウフフ」

智はふにゃりと笑った。

「さぁ!席につけ」

そこで話は途切れた。

授業も進んでいく。

「ねぇ、お昼、屋上行こ」

「あぁ、いい天気だしな」

窓から空を見上げると、白い雲が青い空に浮かんでいる。

「あの二人大丈夫かな?」

「あの、二人って?」

「だから、雅紀とニノだよ」

「大丈夫だよ」

「なんで大丈夫なんだよ!心配だろ!友達なんだから」

「そうかな?逆でしょ?」

「はぁ?」

「友達なんだから、心配はいらないよ」

二人は昼休みになっても戻って来なかった。

屋上で二人で弁当を広げた。

「ねぇ、翔くん」

「ぉあ?」

「一人でやるにはどうしたらいいの?」

「へ?」

「一人だとこの間みたく硬くならないんだもん」

はぁ?



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