僕は君を連れてゆく
第65章 ハートビート
「重っ…」
何かが体の上に乗ってる…
金縛り?
まさか!?
金縛りなんかではもちろんなくて。
翔さんの足が俺の体に乗っていた。
細いけど筋肉がしっかりついてる脚。
俺は太ももに触れた。
触れるとピクリと体が動いて翔さんは起きた。
「おはよ」
「おはよう」
上半身だけ起こして俺の頭を撫でる。
「体、大丈夫か?」
「うん…今のところ。起きてみないとわかんないや」
とここまで喋ってみて声かカサカサなことに気がつく。
「声でないや…っと…」
反動をつけて起き上がる。
「昨日はいい声、たくさん聞かせてくれたからな?」
と、起きた俺の腰に腕を回した。
「なんか、おじさんくさーい!」
「なんだとっ!」
優しいデコピンをくらう。
「体、大丈夫みたい…綺麗にしてくれたの?ありがとね」
「あとでシャワー浴びよう」
「うん…でも…」
お尻をずらして翔さんに近づいて翔さん肩に自分の頭を預ける。
「どうした?」
「もう少し…こうしてたい」
腰に回された腕が意思を持って動き出した。
「誘ってる?」
「シャワーはまだいいよね?」
翔さんが俺の顎に手をかけ少し上にあげる。
目を閉じて三秒後に訪れるキスを待つ。
少しだけ、不安だった。
年の差があって、なんでも出来るいい男だったから。
だけど、
こんなにも俺を愛してくれている。
男同士だから、とか。
男のくせに、とか。
そんなことで悩んでいたら、もったいない。
貴方が俺を愛してくれるように。
俺も貴方を愛したい。
「ずっとキスしてて」
「今日は要望がたくさんあるな」
「ワガママかな?」
「そんなことない。大歓迎!」
抱き締められる度に、愛されるとわかる。
抱き締めるたびに、愛してると思う。
心が満たされるこの瞬間をこれからも、貴方と。
【End】