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僕は君を連れてゆく

第67章 瞬きの合間に


その日から10日後。
雅紀、ニノ、智のグループは年内での解散が発表された。

ファンのみんなにとっては泣き叫ぶほどのことでも日本の、世の中の流れでは一つの出来事として流れていった。

智は引退し、ニノは役者の道を、雅紀の今後の活動は未定と。

「翔ちゃん!朝ご飯食べてってよー」

解散を発表してから雅紀の泣いてるところは見ていない。
元々決まっていた個人のバラエティーやCM、雑誌をやる程度で新しい仕事は入れてないそうだ。グループの仕事はもちろん忙しくしてるけど。

ほぼ毎日、家に来ては泊まっていく。
朝から夕飯まで準備してくれて。

「食べたいけど、時間が」

「あれ?今日は10時迎えじゃなかった?」

「え?」

こんな感じで俺のスケジュールもしっかり把握してくれている。
「うちにこんな皿あった?」

「俺が家から持ってきたんだよぉ。っていうかコップが二つしかなかったからね!」

「だよなぁ。うまっ!」

美味しい朝食、綺麗に畳まれた洋服、綺麗な部屋。
これはおれの部屋か?

「なんかさ、俺達…」

「ん?」

「恋人同士みたいだね?」

「えっ!?」

ルンルンって言葉がピッタリな足取りでキッチンへ戻る雅紀。
なんて返事をすればいいのか分からず俺は残りの朝食を口に詰め込んだ。

「それは、そうと。お前、仕事はどうすんだよ」

「まだわかんない…ラストライブとか色々あるし…それをきちんとやって俺の中で整理したいんだよ」

冷めちゃうから早く食べて、と促されてコーヒーを口に運ぶ。

そういうもんなのか?
俺だったら一人になったことで仕事の量が減ることにかなりの不安を感じるはずだから、来るもの拒まずで仕事をするような気がするけど。

「ほら!準備しないと!」

「本当だ!」

「俺、今日は遅くなるから自宅に帰るからね」

「分かった」

今日も雅紀に見送ってもらって俺は仕事に行った。

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