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僕は君を連れてゆく

第73章 胸騒ぎの夜

10月に入り、俺たちの周りはなんだかザワザワしている。


理由は、そう、あの日は特別に人間の血を吸うことが出来るからだ。


俺たち吸血鬼は昔は日光やにんにくが苦手で、夜しか活動出来ない、なんてイメージがあったと思う。


だけど、令和になった今、俺たち吸血鬼だって進化してるわけで。


それなりに昼間も出歩けるようになったし。

血液だって、摂取しなくても生きていける。

トマトジュースやケチャップなど、トマト料理を食べて
生きれるようになった。

そして、満月の夜にある場所で血液を提供してくれるところが表れる。

そこへ行き血液を摂取すれば俺たちは永遠に生きていけるんだ。

そんなわけで、俺たちは人間と同じように生活できるわけだ。

それとは別に。
今日。

10月31日の夜
21時から23時59分までの間

俺たちが人間から血を吸うことを許される日なんだ。

一年に一度だけ。

血を吸われた人間の記憶を自らの能力で消すことが出来る。

だから、能力が高ければ簡単に記憶を消して人間を物色することが出来るんだ。

「あと15分」


腕時計を確認するとあと15分で21時になる。


どんな奴にしようか…


血液を提供してくれる店から出される血液は保存されたものだから味はよくない。

やっぱり新鮮なものが一番なんだ。

新鮮でうまいのを見分けるのも能力の一つ。

「誰にしよう…」

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