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喫茶くろねこ

第11章 佑太、実家に帰る。

新幹線の中では爆睡だった。乗車直後からしばらくは窓の外の景色を眺めていたのだけど、いつの間にか意識を手放し、次に気付いた時には、降りる駅1つ手前の、こだましか止まらない駅を通過したところだった。

とりあえず降りる準備をしなければ、と思い、まずはトイレに行った。それからマリンの様子を確認する。キャリーケースの中で顔を隠すように丸くなっていて顔が見えない。

「マリン、無事か?」

声をかけてみるが、返事は無い。とりあえず、荷物を持ってデッキに出る。そして、ケースの中を再度覗いてみる。動きは無い。

…猫って、乗り物酔いとかすんのかな?
よし。今度、マスターに聞いてみよう。

新幹線から在来線に乗り換える前に実家に電話を入れる。普段なら在来線を降りてから実家まではバスを使うのだが、マリンが一緒だと話すと、兄貴が駅まで車で迎えに来てくれることになった。

…兄貴もかなりの猫好きだからなぁ。猫が一緒だと待遇がいいな♪

***

猫と一緒だと待遇がいいとか思ってウキウキ気分で兄貴を待っていた30分前の自分を呪いたい…。
まさか助手席でずっと説教され続ける羽目になるとは。

マロンがいるのにマリンを連れて帰ってきて家庭内での猫の序列を考えろ、とか、猫に無茶な長旅をさせて、とか主に猫絡みの説教だったが、マリン見た時はデレデレしてたし連れて帰ったことを怒ってるのか喜んでるのか、よくわからない。

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