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喫茶くろねこ

第12章 マリン&まろん

行きがけにかどにゃんに軽く挨拶をし、スーパーで目的のものを買ってから、帰りに戻ってきて撫でる。

いつものパターンだ。

焼きそばを買って戻ると、母親が、やたらでかいスマホで何やらゲームをしていた。

「でかいスマホだね」
「やだ、佑太。これ、スマホじゃないわよ。タブレット」
「どう違うの?」
「…え。どう違うんだろう。考えたことなかったけど、まぁ明らかに違うのは大きさよね」
「それは、見たら分かる」

…母さんに聞いたのが間違いだったか。今度、兄貴にでも聞いてみよう。母親との会話を諦めて、焼きそば用の湯を沸かすことにした。

「あ、これで電話はできないわ」
「機械的に出来ないの?やり方がわからなくてしないだけじゃなくて?」
「失礼な子ね。買った時に通話機能はついてない、って聞いたわよ」
「ふーん…」

しばらくの沈黙。

「あっ、大福!!」

母さんが突然叫ぶ。

「ねぇ、1コちょうだい?」

僕が今日買ってきた大福は3個入りパックだ。3個入りと5個入りの二種類を売っていて、僕は1つあれば十分なんだけど、バラ売りがないから3個入りのほうを買ってきたのだ。

「僕、1コでいいから、残りはあげるよ」
「ありがとう!」

そして母さんは、僕が焼きそばを食べている隣で、あっという間に大福2つをたいらげた。

「あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど…」


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