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喫茶くろねこ

第15章 佑太の日常と、レオンと虎太郎。

そんなレオンを横目に見ながら、店に入って驚いた。
いつもよりかなり客が多い。そして、普段は二階の猫部屋にいるはずの猫達も何匹か降りてきていた。

いったい、この店に何があったんだ。

…と。思っていたがその謎はすぐに解けた。先ほど、帰って行った客を見送ったレオンが新しい客を連れて戻ってきた。新しい客が席に着くと、その客に一撫でされてから離れるレオン。と、すぐに

「レオンく~ん、こっち~」

奥のほうから声がかかる。タッタッタ、と軽快に駆け寄り、呼んだ客の膝の上に飛び乗るレオン。

「かわいい~」
「きゃー、喉ゴロゴロ鳴ってる~」

大変モテている。そうか、レオンの接客で猫好き客の来店が増えているのか。しばらく眺めていると、猫用ミルクや猫用オヤツなどを注文する客がいることに気付いた。注文がはいって、客の席にミルク等が運ばれると、それに保護ネコたちがついていってご相伴にあずかるようだ。

『なかなかいいシステムだろ。こんな方法で新しい売り上げが上がるとはな』

…マスターが考えたんすか?

『いや、まぁ。…み、みんなで考えた』

入り口近くの壁に掲示板のようなものがあり、そこには猫写真が大量に貼ってあった。レオンと虎太郎がメインモデルだが、保護ネコたちもちらほらいる。

『写真販売も始めた』

…売れてるんですか?

『いや、眺めてる客は多いが、今んとこあまり売れてない』



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