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喫茶くろねこ

第16章 「らしさ」って何だろう?

「良い心がけだわ。その言葉、忘れないでね。女の子、泣かせちゃダメよ?」

「あっ、はい」

「じゃ、私も帰るから。またね」

「ま、待って!!」

なんだか中井さんの背中が寂しそうに見えて、思わず呼び止めてしまった。

「なに?可哀想なアラサー女を、下地君が慰めてくれるの?」

「えっ、えと…」

「ふふ、嘘よ。困るでしょ、こんなオバサンに言い寄られても。私もね、学生さんは守備範囲外だから。ごめんね」

「中井さんは、オバサンなんかじゃないです」

「え?」

「自分のこと、オバサンって言っちゃうの止めませんか?中井さんは、オバサンなんかじゃないです。そんなこと言ってたら本物のオバサンに殴られますよ?」

「下地君、たまに面白いコト言うわね。ありがとう、なんか元気出たわ」

「それなら、良かったです。じゃ、僕もそろそろ帰りますね」

「待って」

店を出ようとしたら、いきなり腕を掴まれた。

「下地くんさ、私と試してみない?」

耳元で囁かれる。

「ななななな、何をっ、ですか?」

「エッチなこと。初めてでも大丈夫よ。おねぇさんがやさしく筆下ろししてあげる」

「中井さん、酔ってますね?」

今日の中井さん、なんだかおかしい。

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