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喫茶くろねこ

第18章 新生、喫茶くろねこ

中井さんがくろねこを辞めてから、3ヶ月が経った。

保護ネコの里親斡旋を休止してすぐの頃は、猫達がいないことに違和感というか寂しさも感じていたが、その代わり以前はたまにしか来なかった山路家の猫2匹が店に常駐するようになったことで、アットホームな猫カフェって感じになってきた。

そして僕は、だいぶコーヒーの淹れ方が上達した、と思う。あとは、焼き菓子。ニコルスがあと1年ちょっとで留学期間も終わって自分の国に帰るというので、いなくなる前に教えてもらおうということで、週に2回、閉店後にニコルスに焼き菓子を教えてもらっている。生徒は、山路さん親子と、僕の3人。

クッキーやマドレーヌなどの有名なお菓子だけじゃなく、
「カイザーシュマーレン」とかいう、初めて聞く名前のものも教えてもらった。ドイツ風のパンケーキらしい。

カイザーシュマーレン見て、思わず

「なんだ、ホットケーキか」

って言ったら怒られたよ。メレンゲを入れてふわっとさせるのがコツなんだそう。あとレーズンも入れるみたい。

「ユータ!違います!!普通のレーズンじゃなくてラム酒漬けのレーズンね!」

レーズン入れようとしたらまた怒られた。

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