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「弟のお前のほうが先に結婚することになるとは…」

兄貴が天井を仰ぎ、おでこに手をあてている。

「佑太の結婚って、卒業してからでしょ？まだ半年あるんだから、それまでに結婚すればいいじゃない」

母から兄へ、突然の提案。

「そんな急に出来ないよ」

断る兄貴…。

「じゃあ、一緒にすればいいじゃない。結婚式、一回で済むなら楽だわ」
「母さん、それは無理だろう」

母さんが暴走しかけたところで、珍しく親父が止めに入る。

「まぁ一緒には無理でも、アンタも早く結婚しなさいね」
「うーんと…まぁ、考えとく」

「それでさ、兄貴。店をオープンするにあたってさ資金とかが必要になると思うんだけど、信金からの借り入れとかそこらへんの話を兄貴に聞いてみたいと思ってさ。貯金は4年間分のバイト代がほとんど手付かずだから、ある程度はあるんだけど」

「どのぐらいあるんだ？」

「借り入れは考えずに、しばらくはどこかで働いて金を貯めてから自分の店をオープンしたらどうだ？金が貯まり次第辞める予定なら、何も正社員じゃなくても期間工とかでもいいだろう」

兄貴に相談したのに、なぜか親父からの提案。

「期間工？」
「3ヶ月とか6ヶ月とか、期間限定で工場で働くんだ。寮に住みこみでな」

「あら、相手の女性、年上なんでしょ？あんまり待たせちゃまずいんじゃないの？ただでさえ卒業まで待ってもらってるのに。女性には出産のタイムリミットがあるのよ？」