喫茶くろねこ
第6章 春 ~母と猫と入学式~
母が僕と2階へ移動するため、マスターを山路さんに返そうとする…が、マスターはパッとカウンターに跳び移って、前足に顎を乗せるような姿勢で丸くなると、大きなアクビをした。そして、前足で鼻先を隠すように覆うと、さらに丸くなり、目をつむった。
…ガチ寝モード?
マスターと山路さんを店に残して、僕と母は2階へ上がった。階段でニコルスとすれ違う。
「Oh,ユータ!ヒサ、カタ、ブ~リ!」
「ひっ、ヒサカタブリ?…あぁ、ひさ…久しぶり」
ニコルス、外国人のくせに渋い日本語使うなぁ。あれか、マスターの影響か。マスターの日本語もたまに変な単語が飛び出してくるもんな。“御仁”とか“ご母堂”とか…。
「…今の人、知り合いなの?」
母さんが僕にだけ聞こえる音量で、耳元でこっそりと聞いてくる。
ドアの前に着いたので、鍵を開けながら返事をする。
「うん。喫茶くろねこの…」
「くろねこの?」
「バイトの一人で、3階に住んでる人。留学生らしいよ。学部は違うけど、大学は一緒」
「あら、じゃあ先輩じゃないの」
「くろねこでは先輩だけど、大学のほうは彼もこの春からだよ。前に会った時は語学学校で日本語の勉強中だって言ってたし」
「年はだいぶ上でしょ?」
「28って聞いた」
「あら、意外に若いのね。33、4ぐらいに見えたわ。まぁ、どっちにしてもアンタよりは年上なんだから、先輩で合ってるじゃない」
…ガチ寝モード?
マスターと山路さんを店に残して、僕と母は2階へ上がった。階段でニコルスとすれ違う。
「Oh,ユータ!ヒサ、カタ、ブ~リ!」
「ひっ、ヒサカタブリ?…あぁ、ひさ…久しぶり」
ニコルス、外国人のくせに渋い日本語使うなぁ。あれか、マスターの影響か。マスターの日本語もたまに変な単語が飛び出してくるもんな。“御仁”とか“ご母堂”とか…。
「…今の人、知り合いなの?」
母さんが僕にだけ聞こえる音量で、耳元でこっそりと聞いてくる。
ドアの前に着いたので、鍵を開けながら返事をする。
「うん。喫茶くろねこの…」
「くろねこの?」
「バイトの一人で、3階に住んでる人。留学生らしいよ。学部は違うけど、大学は一緒」
「あら、じゃあ先輩じゃないの」
「くろねこでは先輩だけど、大学のほうは彼もこの春からだよ。前に会った時は語学学校で日本語の勉強中だって言ってたし」
「年はだいぶ上でしょ?」
「28って聞いた」
「あら、意外に若いのね。33、4ぐらいに見えたわ。まぁ、どっちにしてもアンタよりは年上なんだから、先輩で合ってるじゃない」