喫茶くろねこ
第7章 中井さん
ニコルスから逃げ、大学をあとにする。
母さんは早々に一人で観光に繰り出してしまったし…この街で、大学以外に僕が行くところと言えば…
―――――――――……。
―――――――……。
―――――……。
新しい『お気に入りスポット』を開拓してみようかな、と街をうろうろしてみたものの、ピンとくるような場所もなく、結局、喫茶くろねこに来てしまった。
店に入ると、珍しく中井さんが店のほうに出ていた。
空いている席に適当に座ると、お水を運んできてくれた。
「いらっしゃいませ」
「あ…ども…」
「お決まりになりましたらお声かけ下さいね」
普段は猫部屋で猫達の世話をしていることが多いので、違和感…というほどでもないが、なんとなく照れくさい。
中井さんは、そのまま別のお客のところにむかった。
マスターの背中に両手を揃えて置き、目を瞑っているサラリーマン風の中年男性。
…どうやらマスターが何かの占い中らしい。中井さんがサラリーマン(らしき)男性に声をかけると、マスターの背中から手をおろした。
中井さんが、男性の前にコーヒーカップを置き、マスターを抱いて一度カウンターへと下がる。
男性は、不安そうな表情を浮かべたままカップを口へ運ぶ。カウンターの奥では恐らく、中井さんとマスターがテレパシーで占いの結果をやり取りしている。
しばらくして、中井さんだけが男性の席へと戻る。
母さんは早々に一人で観光に繰り出してしまったし…この街で、大学以外に僕が行くところと言えば…
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新しい『お気に入りスポット』を開拓してみようかな、と街をうろうろしてみたものの、ピンとくるような場所もなく、結局、喫茶くろねこに来てしまった。
店に入ると、珍しく中井さんが店のほうに出ていた。
空いている席に適当に座ると、お水を運んできてくれた。
「いらっしゃいませ」
「あ…ども…」
「お決まりになりましたらお声かけ下さいね」
普段は猫部屋で猫達の世話をしていることが多いので、違和感…というほどでもないが、なんとなく照れくさい。
中井さんは、そのまま別のお客のところにむかった。
マスターの背中に両手を揃えて置き、目を瞑っているサラリーマン風の中年男性。
…どうやらマスターが何かの占い中らしい。中井さんがサラリーマン(らしき)男性に声をかけると、マスターの背中から手をおろした。
中井さんが、男性の前にコーヒーカップを置き、マスターを抱いて一度カウンターへと下がる。
男性は、不安そうな表情を浮かべたままカップを口へ運ぶ。カウンターの奥では恐らく、中井さんとマスターがテレパシーで占いの結果をやり取りしている。
しばらくして、中井さんだけが男性の席へと戻る。