喫茶くろねこ
第7章 中井さん
「ありがとうございました!頑張ります!!」
珈琲の美味さに浸りながら考え事をしていると、突然、威勢のいい声が聞こえてきた。声のしたほうを見ると、さっきまで不安そうな表情をしていたサラリーマン風の中年男性が、晴れ晴れとした顔で中井さんにお礼を言い、席をたつところだった。レジで支払いを済ませ、軽い足取りで店を出て行く。
「ありがとうございました、またどうぞー」
「いらっしゃいませー」
サラリーマン風の男性客を見送る、と、入れ替わりで別のお客が入ってきた。今度は仲の良さそうな夫婦らしき男女二人組だ。
「あの…先日、予約をした望月です」
…予約?何の予約だろうか、と思っていると、中井さんが2階の猫部屋へと通じるカウンター脇の階段へとその夫婦を案内していたので、保護猫の里親希望の人だと分かった。
夫婦と中井さんが二階に消えると、店内は僕と佐々木さんとマスターだけになった。
やっぱり営業時間がバラバラだったり、開いてたり閉まってたりする変な店だから…基本的に、客が少ないんだよな…。
『聞こえてるぞ』
「うっ、うわぁぁぁ~!」
『うるさい、騒ぐな』
だって…突然話しかけるからビックリして…。
『変な店で悪かったな、いいんだよ、うちはコレで。アパートの家賃収入がメインで、喫茶店経営はおまけみたいなもんなんだから』
…オマケなんすか。
『先代マスターとの思い出の場所を無くしたくないのと、あとは殺処分される猫を少しでも減らしたくてやってるだけだから』
…殺処分…。
『私もマスターに拾われる前は捨て猫だったのだ』
珈琲の美味さに浸りながら考え事をしていると、突然、威勢のいい声が聞こえてきた。声のしたほうを見ると、さっきまで不安そうな表情をしていたサラリーマン風の中年男性が、晴れ晴れとした顔で中井さんにお礼を言い、席をたつところだった。レジで支払いを済ませ、軽い足取りで店を出て行く。
「ありがとうございました、またどうぞー」
「いらっしゃいませー」
サラリーマン風の男性客を見送る、と、入れ替わりで別のお客が入ってきた。今度は仲の良さそうな夫婦らしき男女二人組だ。
「あの…先日、予約をした望月です」
…予約?何の予約だろうか、と思っていると、中井さんが2階の猫部屋へと通じるカウンター脇の階段へとその夫婦を案内していたので、保護猫の里親希望の人だと分かった。
夫婦と中井さんが二階に消えると、店内は僕と佐々木さんとマスターだけになった。
やっぱり営業時間がバラバラだったり、開いてたり閉まってたりする変な店だから…基本的に、客が少ないんだよな…。
『聞こえてるぞ』
「うっ、うわぁぁぁ~!」
『うるさい、騒ぐな』
だって…突然話しかけるからビックリして…。
『変な店で悪かったな、いいんだよ、うちはコレで。アパートの家賃収入がメインで、喫茶店経営はおまけみたいなもんなんだから』
…オマケなんすか。
『先代マスターとの思い出の場所を無くしたくないのと、あとは殺処分される猫を少しでも減らしたくてやってるだけだから』
…殺処分…。
『私もマスターに拾われる前は捨て猫だったのだ』