喫茶くろねこ
第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~
大学入学から約3ヶ月。
そろそろ梅雨も明け、本格的な夏が近い。
学生生活とアルバイトの両立にも慣れ、徐々に周りを見る余裕も出てきた僕には、今、一人気になっている人がいる。
同じ大学の、安岡さんだ。ずっと名字しか知らなかったのだが、こないだようやく下の名前が判明した。千夏ちゃん、というらしい。
ショートカットで笑顔が素敵な、なんとも可愛いらしい女の子だ。
「…千夏ちゃん、昨日も可愛かったな~~~」
『佑太、心の声が外に漏れてるぞ』
「まっ、マスター、また勝手に人の心読んで!」
『今日は読んでない。ガッツリ声に出てたぞ』
「えっ…マジすか!」
「おう。俺も聞こえたぞ」
目の前にいるマスターだけでなく、キッチンの奥で作業中だった佐々木さんにまで声が届いていたらしい、ということは結構大きな声で喋ってたってこと?!
『良かったな。まだ開店前で客がいなくて』
「で、です…よね…」
「さぁ、オープンだ!佑太、店開けろぃ」
「へーぃ」
今日は1時限目の授業が教授の都合で休講になったので、午前中が暇になった僕は、珍しく朝から店に出ているのだ。まぁ、ホントは出勤するハズじゃなかったんだけど、マスターに心の声を読まれてしまって、休講がバレたので仕方なく…ホントは部屋でのんびり寝るつもりだったのに…。
そろそろ梅雨も明け、本格的な夏が近い。
学生生活とアルバイトの両立にも慣れ、徐々に周りを見る余裕も出てきた僕には、今、一人気になっている人がいる。
同じ大学の、安岡さんだ。ずっと名字しか知らなかったのだが、こないだようやく下の名前が判明した。千夏ちゃん、というらしい。
ショートカットで笑顔が素敵な、なんとも可愛いらしい女の子だ。
「…千夏ちゃん、昨日も可愛かったな~~~」
『佑太、心の声が外に漏れてるぞ』
「まっ、マスター、また勝手に人の心読んで!」
『今日は読んでない。ガッツリ声に出てたぞ』
「えっ…マジすか!」
「おう。俺も聞こえたぞ」
目の前にいるマスターだけでなく、キッチンの奥で作業中だった佐々木さんにまで声が届いていたらしい、ということは結構大きな声で喋ってたってこと?!
『良かったな。まだ開店前で客がいなくて』
「で、です…よね…」
「さぁ、オープンだ!佑太、店開けろぃ」
「へーぃ」
今日は1時限目の授業が教授の都合で休講になったので、午前中が暇になった僕は、珍しく朝から店に出ているのだ。まぁ、ホントは出勤するハズじゃなかったんだけど、マスターに心の声を読まれてしまって、休講がバレたので仕方なく…ホントは部屋でのんびり寝るつもりだったのに…。