委員長はエッチでした
第8章 復讐するには
いつもの公園のベンチ
亮と並んで座り
ポツポツと
話をするあたし。
無駄な事は
言ってない
あたしの思いも
全て省いて
ただ
客観的な
事実だけを話した。
黙って話を聞いた亮。
俯いて
暗い表情を見て
やっぱり
話すんじゃなかったと
後悔した。
亮の握りしめた
拳が震えているのに
気付いた。
「……縛られて、拘束されて……薬……!?」
絶句する亮
あたしの顔を見て
息を飲み
その綺麗な瞳から
涙が溢れた。
「彩香さん……どうして今まで……
我慢してたの……?」
それは
啓介にも言われた。
どうして?
我慢してたんだろう?
お母さんが悲しむから?
警察に相談した方が
啓介はそう言ってたけど
どうしてなのか?
最初は確かに
恐怖しかなかった。
夜が来るのが
恐ろしくて
苦痛ばかりだった
だけど
だんだん
気持ち良く
なってきて……
この状況に
慣れてしまっていた。
変わったのは
亮に恋をしたから
あの人に
触れられる事に
また
嫌悪を感じて
はじめて
逃げたいんだと思ったから。
亮に恋をしてなければ
あたしは
きっとまだ
あの家で
幸せな家庭を
演じながら
お母さんを裏切り
結城さんとの
関係も
続けていたのかも
知れない。
「結城さんは、本当に彩香さんの事が、
好きなんだと思うけど……」
「違うっ、あの人はただ、楽しんで、
あたしをおもちゃにしてただけで……っ!」
亮に両手を
スッと掴まれて
優しく
引き寄せられた。
「もう、いいよ、彩香さん……、
俺がずっと……守るから……っ、
だから、俺の傍を……
絶対に離れないで?」
「うん、離れる訳ないよ、
亮こそ、離れたらダメだよ?」
亮の広い胸に
顔を埋めて
頬を寄せて
幸せを噛み締めていた。
絶対離れないでって
約束した
ばかりだったのに……。
この時の
あたし達は
まだ
知らない。
学校の掲示板に
あたし達の
写真が
ばら蒔かれて
いる事を
何も知らずに
そんな
約束をしたんだった。