委員長はエッチでした
第9章 意味なんてない
亮と一緒に
校長室のドアを叩く。
すぐに
ドアが開いて
うちの担任の先生が
顔を出した。
「ああ、来たか?
まあ、入りなさい」
この瞬間から
あたしは優等生の仮面を被る。
「はい、
失礼します」
校長室に入って
校長先生の前まで進む。
「失礼します……」
あたしの後を
ついて来る亮が
隣に並んだ。
校長先生は
いいお年のおじいちゃん。
シワが多いけど
整った顔立ち
背筋はいつも
ピンと伸ばし
ピシリとした雰囲気。
威厳とか
風格とか
圧倒されて
緊張してしまう。
あたしは
校長先生の前で
頭を下げた。
「おはようございます、校長先生、
藤島 彩香です」
「おはようございます、黒崎 亮です」
同じように
頭を下げる亮。
その表情は固く
緊張の為か
蒼白い。
「はい、おはようございます、
君達を呼んだのは、ここにある、
一枚の写真についてなんだが、
……身に覚えがあるかね?」
校長先生の机の上に
スッと置かれた写真。
教室で啓介が見せてくれたのと
同じモノだ。
やっぱり
それで呼ばれたんだ。
そんな予感はしていた。
あたしはその写真を
じっと見つめた。
亮も同じように見る。
二人の表情は
ボケてて分かりにくい。
亮の眼鏡と
あたしの胸で
分かってしまうけど
そんなの
証拠にならない。
あたしは覚悟を決めて
口を開く。
「あの…俺は……っ」
「残念ですけど、全く身に覚えがありませんっ」
「……えっ?」
亮が何かを言いかけたけど
亮に話をさせない。
「……失礼ですけど、どうしてこれが
あたしだと思うんでしょうか?
あたしはこんなに、胸が大きくないですし、
黒崎くんは確かにクラスメートですけど、
家には行った事、ありません」
少し不愉快な表情をつくる。
「……なっ、お前なぁ…藤島……」
呆れたような担任の顔。
目をぱちくりする校長先生。
はらはらして
あたしと先生方を
見比べている亮。
「そもそもこれって、ケータイの画像ですよね?
今時、イタズラで合成もできますし、
そんな事でいちいち対応してたら、きりが
ありませんよ?」