委員長はエッチでした
第9章 意味なんてない
教室に戻って
心配そうなクラスメート
興味津々って顔で
『どうだった〜?』
『怒られた〜?なんか処分とか言われたの?』
あたしは啓介と
まゆちんに向かって
親指を立てた。
「しらばっくれてやったわよっ」
クッ、
笑いだす啓介。
「えっ、そんなの通用したのっ?」
驚いた様子のまゆちん
「通用させたのよっ、無理矢理ねっ」
『さすが、藤島〜』
『強ぇ〜っ、黒崎も大変だなっ!』
男子生徒に
背中を叩かれて
むせている亮。
その姿を見て……
いいクラスメートに囲まれて
良かったなと
しみじみ思った。
だってほら
最近の亮は
いつもの文庫本を
持ってはいるけれど
一人で
それを
読んだりはしてない。
手に持ってるけど
開こうとして
誰かに話かけられて
あたふたしながら
なんとか
会話している。
啓介だって
亮に話かけるから
啓介の友達も
自然に
亮と話している。
亮は無口な
コミュ障
どもったり
焦ったり
たどたどしく
でも
一生懸命
話をしようとしている。
前向きに
怯えずに
一人の世界に
逃げ込まないで
あたしと
一緒に
そこから
旅立って
もっと
広い世界に向かって
もっと
色んな人と
話をして
そうしたら
いつの間にか
亮のコミュ障も
治るのかも知れない。
「黒崎は大丈夫だよ、
真面目眼鏡が童貞捨てて、しかも相手は
高嶺の花のお前、男子からは、すっかり
英雄扱いだからね、
だけどお前は違う、お前の事を快く
思ってない、女子もいるってことだ」
啓介があたしの
耳元で囁く
教室をぐるりと
見渡して
すぐに気付いた。
3人の女子が
固まって
ひそひそ話をしている。
こちらをちらちら見て
その目が鋭く
あたしを睨んでるのが
分かる。
いい雰囲気ではない
感じ悪い
でも
何か言いたいことが
あるのなら
はっきり言って欲しいな。
その中の一人と
目が合って
きつく睨まれた。
弾かれたように
立ち上がり
その子と話をしようとして
教室に担任の
先生が入って来て
啓介に腕を掴まれた。
しょうがなく
席に座る。