委員長はエッチでした
第12章 真夜中のおしおき
あたしの頭を
優しく撫でてくれた。
そんな風にされたのは
はじめてで
怖い事も
沢山あったのに
それだけで
安心できる自分がいた。
……亮って不思議だ。
普段は頼り無さそうなのに
強そうでも
何でもないのに
どうしてだか
この人なら
全てを委ねたいと
思っちゃうの。
するりと離れていく
優しい腕に
すがりついて
引き留めたい気持ちを
抱えたまま
ドアが閉まった。
……どうしたんだろう?
知り合いって誰かな?
親戚かな?
……せっかく浴衣に
着替えたのにな。
でもすぐに戻るって
言ってたから……
きっと亮は
すぐに戻るんだろう。
……不安になる事なんか
ない……。
外の美しい景色を
眺めて
少し落ち着いて
色々考えてみようと思って
窓の傍のイスに座った。
……座った瞬間
部屋のドアが
ノックされた。
……そっか
亮ってば鍵とか
持って行ってないからっ
くすりと笑いながら
本当にすぐに
戻って来たことが
嬉しくて
小走りに
旅館のオートロックの
ドアを勢いよく……
開いた。
……開いてしまったんだ。
そこに夢でもなく
現実の
結城さんが
立っている姿を見て
短く悲鳴を上げてしまう。
「……な…んで……っ!?」
相変わらず
恐ろしい程に
美しい外見。
表情の読めない
美形な顔立ち
ラフな服装で
普通に目の前に立っていた。
ゾクリと背中が泡立ち
身体中の体温が
急激に冷えて行く。
昨日の悪夢のような
出来事を思い出す。
でも夢でもなく
現実に今目の前で
平然と立っている
結城さんを見て
咄嗟に直ぐに
ドアを閉めようとして
ガツンッ……
ドアの間に結城さんの
靴が挟まり
思い切り
閉めようとして
その隙間から
無理矢理体を突っ込み
あっというまに
部屋に入り込まれて
ドアの閉まる音が
激しく響いた。
「……いやっ…!どうして入って来ちゃうの……!?」
悲鳴を上げて
逃げる為に
思わず窓に近寄った。
……ここは2階だ。
……飛び降りれる
距離かもしれない……!
子供の頃は
これくらいの高さなんて……!
「どうしてって、彩香がいるからだろう」