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委員長はエッチでした

第13章 泣かせたかった




桜木 翔矢side


旅館に着いて
懐かしく思いながら
以前、母親だった女将を訪ねる。



たった何年間かは
この旅館に
暮らしていたから。



ただの他人になっても
女将は俺を
笑顔で迎えてくれて

予約でいっぱいだから
以前の俺の部屋だった
一階の広間に
案内してくれた。



旅館の従業員も
皆、普通に声をかけてくれて
ここに住んでいた頃の
優しい時間を
思い出した。



ほんの少し
感傷的になり

女将に結城さんらしき人が
泊まってないか
聞いて

案の定、
泊まっていた。



名簿も確認して
部屋も確認した。



『藤堂 結城』



藤の間か……

よりによって
亮と彩香の泊まる
隣の部屋かよ……。



すぐに気付いて
俺は陰ながら
部屋を見張り

結城を掴まえようと思って
まずは亮に
この事を報告しようと
ちょっと呼んだのが

裏目に出てしまった。



亮とは少し話をして
慌てて亮は
部屋に戻って

俺は結城の部屋を
見張ろうとして

すぐに行こうとした所で

彩香の声がした。




一階のこの部屋にいたから
ベランダにいる
揉めてるような声に
すぐに気付けて

彩香が飛び降りる瞬間
すぐに体が
反応出来た。



余裕でキャッチ出来ると
思ったのに
上手く間に合わなくて
それでも彩香を
守る為に

胸に囲って
衝撃に耐えた。



柔らかい小さな体だと
はじめて気付いた。



……ん?
柔らかい?



膝を怪我してたから
肩の上に抱え上げてから
すぐに気付く。



……こいつ、ノーブラ?



バカじゃないの?



ああ、そうか
亮とお楽しみだった訳だ……。



人の苦労も知らずに、
なんなんだよ
この女は……!



無償にイライラした。



取り敢えず
部屋に連れて行き

畳の上に転がしたら
痛かったらしく
文句を言われる。



……うるさい、バカ女。



救急箱をだして
両膝から
血が流れていたから

消毒液をティッシュに浸けて
傷口に手当てしてやる。




「痛い痛い痛い~!もうっ、適当だしっ、わざとなのっ?」

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