委員長はエッチでした
第14章 命懸けで愛されて
結城さんの両親が
経営するホテルは
車に揺られて
一時間もかかる場所にあった。
あたしは車の中で
いつの間にか
眠ってしまっていた。
「……着いたよ、彩香」
結城さんの声で
目が覚めて
車から素直に降りる。
『○○プリンスホテル』
大きくてまともなホテルで
驚いてしまう。
運転手の人に
恭しくドアを開けられて
促されて降りた。
「愛人がこの辺りの病院の看護士で、愛人と会う為に作ったようなもんだ。あの人の発想はほとんどそんなもん」
ホテルを冷たい視線で
見上げる結城さん
皮肉気に笑い
肩をすくめてエスコートされた。
「彩香、緊張してるね?どこに行っても、する事は一緒なのに……可愛いね」
くすりとした含み笑い
フロントで結城さんが
軽く挨拶しただけで
部屋のキーを渡された。
広いドアのエレベーターに乗り
そこから見える景色に
見惚れてしまう。
8階で止まり
ドアが開いて
結城さんに肩を抱かれて
部屋の中に入った。
広い部屋
高級そうな家具
広い窓に広がる外の景色。
荷物を下ろして
結城さんが
バスルームに行き
お湯を張る気配がした。
バスルームから
甘いバラの香りが
湯気と一緒に立ち上る。
「まずは一緒に風呂に入ろうか?今まで一緒に入った事は、なかったからね?」
あたしは何も言わずに
バスルームに行く。
さっさと服を脱いで
まだお湯はいっぱいに
なってないのに
シャワーを浴びた。
身体中の体液を
洗い流して
丁寧に洗う。
服を脱いだ結城さんが
同じように自分の体を洗う。
お互いにそれぞれの体を洗い
お湯がいっぱいになって
バスタブに一緒に入った。
向かい合って
お湯の中で抱きしめられる。
「やっと、二人きりになれた、これからはずっと一緒だ。……俺は彩香だけ、いればそれでいい、狂おしい程、愛しているんだ……」
お湯の中で
バラの香りに包まれて
暖かい体温と
お湯の温度で
クラクラする。
……どうしてあたしは
ここにいるのだろう。
亮と一緒に
過ごす筈だったのに
気が付けばいつも
結城さんの
腕の中にいる。
逃れても追われて
家の中にまで来て
この人は本当に
狂っている。