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委員長はエッチでした

第14章 命懸けで愛されて




ああ、やっぱり
この人はおかしい。

この人と話をしても
無駄なような
気がするから

いつも逃げて
避けていたのに。

だけどずっと
逃げ続けるのも嫌だ。

向かい合わなければ
結城さんは
あたしをずっと
追いかけ続ける。



「……あたしが好きなのは、亮だけよ、亮をあなたが傷付けるから……ここに来たんだから」

そうじゃないと、
結城さんは
何をするか
分からなかった。

あたしと一緒にいるせいで
亮が嫌な思いを
するくらいなら……。

あたしをじっと
見下ろす結城さん
風呂あがりの
濡れた髪が頬にかかり

その冷たさに
ゾクリとする。

綺麗な切れ長の瞳。

あたしを見てるのに
見てないような
不思議な光を宿す。

冷たい光。


「冬休みだよね?……その間はずっと、俺と一緒にいるんだ。彩香の考えが変わるまで、二人でずっと過ごそう。誰にも邪魔されない場所に連れて行くから、覚悟しといてくれ」

「……そんな…っ、そんな事して、立派な誘拐だよ?いくらお母さんが、遠くに行ってても亮だって、あのままずっと、あたしの帰りを待つ訳ないしっ……」

「……俺はね、彩香以外の事は、全てがどうでもいいんだよ?……時間も限られてるしね?君は考えた事があるかい?……もし世界がすぐにでも滅ぶなら、残された時間をどう過ごすか」

「……?」

……意味が分からない。

結城さんは昔から
何を考えてるか分からない
得体の知れないとこがあった。

難しい本を
良く読んでたし
哲学とか
何とか思想論とか。

「……嫌いな人間を殺す奴もいる。だけどたった一人でも、愛してる人がいて、その人が他の人のモノだったら、全力をかけて奪う。
……世界中の人間を的に回しても、後の事なんか考える必要なんてないからね」

……後の事なんか
考える必要なんてない?

自分勝手な
この人の考え方。

「……じゃあ、あたしはどうなるの?あたしの気持ちは?あたしの思いは?あたしは後の事だって、ちゃんと考えるよ?」

ちゃんとこの人と
向かい合わなければ…

そう思って訴えているのに。

あたしの気持ちを
ちゃんと当たり前に考えて欲しいだけ。

普通のことなのに……。

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