委員長はエッチでした
第3章 家族とは
「確かにそれを目標にして、
今まで頑張ったけど、まさか、
本当にこんなに早く、そんな話が来るとは
思わないわよ?」
ポリポリポリポリ
きゅうり食べ過ぎじゃ
なかろうか?
「……結城さんも一緒に行くのよね?」
また
静まりかえる食卓。
お母さんが溜め息をついて
あたしを鋭く睨む。
「さっきからあんた、結城の事ばかり
気にしてっ!
あんたが五月蝿いから、結局籍もいれてないん
だからねっ、そんなに嫌なら、一人暮らしでも
するか〜?」
籍をいれてない?
気づかなかった。
確かに名字は変わってないし
結城さんの名字は
藤堂のままだし……
いや
それよりも今……
願ってもない事を
サラリと言ったよね?
「……する!
一人暮らし、したいっ、バイトでも何でもするっ、お母さんが居ないのに、この家で結城さんと
暮らすのは、おかしいよ……」
「ちょっと待って彩香、
海外赴任って言っても、すぐの話じゃないからね?
この家も亡くなった両親の財産だし……」
「ちゃんと掃除しに行くよ、
ちゃんと出来るしっ」
ぎゃあぎゃあ
二人で言い合っている中で
結城さんの
固い声が響いた。
「俺は一人暮らしなんて反対だな……
せっかく家族になれたのに、
どうして、わざわざ別々に、暮らさなきゃいけない?」
あたしの顔を
じっと鋭く
見据える結城さん。
どうしてよ?
どうして邪魔するの?
何を考えてるの?
気まずい雰囲気を
切り換えるように
お母さんの
きっぱりした声が響いた。
「はいはい、
この話は一旦おしまいっ、
どっちにしろ、まだまだ先の話だから、
今から言い合ってもしょうがないでしょ?」
「でも、お母さん、
急に出張とか、海外赴任とか、
そんなの本当に困るんだからねっ?」
「あ〜はははっ、
まぁ、それは〜ねっ、ちゃんと言いますっ、
はいっ、食べよ〜」
お母さんとの
やり取りの中で
結城さんが
あたしをじっと
見ていた視線に
気付いていた。