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委員長はエッチでした

第4章 逃げない





「……大好き」



耳元でそっと
呟くと

黒崎の体が
びくりと震えた。



「……本当に?
……どうして、彩香さんみたいな人が……
俺なんかを……
からかって……?」



「違うもんっ、俺なんかじゃないっ、
黒崎は素敵だよっ」



息を呑む気配がして
ゆっくり体が
離された。



「……こんな風に、俺に近付いちゃ、
駄目だから……俺だって……男なんだから、
……」



赤い顔をして
真っ直ぐな瞳が
あたしを突き放すように
冷たく光る。



「そんな事、分かっているよ、
何でそんな事言うの?
だってあたし達……」




あたしの言葉を
黒崎が遮る。



「……てないんだ……最後まで……してない
……彩香さんは覚えてないだろうけど、
俺は彩香さんに……拒まれたんだ……」



「えっ……?」



覚えてない……
最後までしてないって……
だって
あの時は……。



途切れ途切れの記憶
確かに覚えている
黒崎の体温。



「……最後までって、その……?」



「……泣きながら……やめてって言われて、
……怯えて震えてた。
恐がらせてしまったと思って……
責任を……」




「責任ってどうしてよ?
何で責任なんて、思うのよ?
それだけの事で……」



……してないのなら
責任を感じる必要なんて
ない筈だ。



そんな事を言ってたら

結城さんなんか
どうなるのよ


責任なんて
取られたくない



……無理して
取られたくない。



「俺は……
彩香さんを怯えさせたくない……
あんな顔をさせたくないんだ……
だから……
俺に近付いちゃ……ダメだ……」



「……どうして……」






頭の中が真っ白になった。
だけど
妙に納得した
部分もある。



黒崎は真面目だから
責任を感じて
あたしと一緒にいただけ……。



いつも受け身で
そうだ
このアパートだって
最初は公園で
飲んでいたあたしを

ただ
危ないから
不審者から
守って……。



彼女なんかじゃない。



この家に
あたしはただ
保護されていただけで……。



でも
あたしは……?



あたしの気持ちは……?

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