委員長はエッチでした
第4章 逃げない
啓介side
「黒崎くんは大丈夫かな?
真面目そうな少年だが、
流石に部屋で二人きり、
というのは良くないだろう?」
父さんが
落ち着きなく
部屋をうろうろする。
まるで
本当のお父さんみたいだ……って
本当の父親だったか。
俺は少し考えてから
口を開いた。
「なあ、聞いてもいいか?
……何で彩香のお母さんと
結婚しなかったんだ?」
俺の言葉に
父さんは真面目な顔になり
俺の前に座り
口を開いた。
「始めて聞いてくれたな?
嬉しいよ、啓介。
いつも興味無さそうで、
嫌われてるのかと思ってたよ」
「違ぇよ、いいから、教えろよ?」
少し照れ臭くなって
そっぽを向く。
「彩香ちゃんのお陰なのかな、
お前とそんなに縁があるとは、
思いもよらなかったよ」
中学生で一緒のクラスになり
近いしレベルも
そこそこの今の高校
高校でもクラスメイトで
縁があり過ぎるくらいだ。
「俺はね……情けないけど、早苗に捨てられたんだよ」
「……はぁっ?」
思わず目を向いて
ばつが悪そうな表情の
父さんを見た。
「良くある大学の合コンで知り合って、
俺は一目で恋をして、夢中になったよ、
医大生で勉学も疎かになる程にね」
へえ
合コンか〜
父さんもそんなこと
やってたんだ。
意外というか
真面目なイメージなのにな。
「……妊娠したと言われた時は、
頭の中が真っ白になってしまって、
俺は咄嗟に言ってしまったんだ、
……おろしてほしいって……」
「おいおいおい!」
思わず
テーブルに手をついて
口を開こうとして
「まあ、聞けよ」
手で制された。
「真剣に悩んで、今度はちゃんと、
産んで欲しいと、プロポーズしたんだ。
……だけど、早苗に、ぴしゃりと、
断られた。
……あんたは、一瞬でも、この子を殺した、
そんな男とは一緒になれない。
そんな男が医者になるなんて、
将来も知れてるってまあ、散々とな……」
溜め息をついている
父さん。
彩香のお母さん
何度か友達皆で
お邪魔したけど。