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委員長はエッチでした

第4章 逃げない






「彩香さん……」



そっと
襖が開いて
黒崎が入って来た。


あたしは……。


何も言えなくて
俯いてしまう。


喉の奥から
熱いモノが
込み上げて来て
ぽたり
雫が零れた。


黒崎の顔を見た瞬間
泣いてしまうなんて……

でも
今は
まともに
顔を見れない。


頭の中が真っ白になって
いろんな感情が
嵐のように
あたしの心を
揺さぶる。


あんな場面を
見られてしまった
一番
見られたくない人に

大好きな人に
最悪の形で
見られてしまった。


もう
嫌われて当然だよ
もう
絶対
黒崎は
あたしなんか
好きになって
貰えない……!



「……彩香さん……
好きだ……もっと早く……気付いていたら……ごめん……」



掠れたような
黒崎の静かで綺麗な声が
胸に染みた。


今……
何て言ったの?
聞き間違い……?



畳の踏む音がして
空気が揺れる気配

ふわりと抱きしめられる
優しい体温。



「ごめん……
好きだ……」



耳元で優しく
甘く
囁かれて
信じられなくて
首を振った。



だって
自分の気持ちが
分からないって
言ってたじゃない?



あんな事があって
また
責任を感じて
同情して……?



「また、責任を感じてなら、そんな同情は
いらないから」



ぎゅっと
あたしを抱きしめる
力がこもる。


「違うよ……
本当に……
好きだから……
どうしたら、信じて貰える?」



眼鏡の奥の瞳が
真っ直ぐに
あたしの瞳を捉える。



眼鏡を外して
黒崎の手が
あたしの頬の涙を拭う。



そのまま
引き寄せられて
そっと
唇が重なった。



「好きだ……」



赤くなる顔を見て
つられて
あたしも赤くなる。



「可愛い……彩香さん、
大好きだ……」




また……
唇が重なった。


黒崎の甘い態度に
戸惑って
何度も唇が重なった。



何度も
好きだと
甘く囁かれて……
涙が止まらなかった。

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