委員長はエッチでした
第5章 真面目なだけじゃない
あたしの朝は
いつも早起きだ。
荷物一式は
昨晩のうちに
啓介のお父さんが
運んでくれたようで
あんな事があっても
お母さんは
慌ただしく
出張に行ったらしい。
帰ったら
話をしに来るって
メールが入っていた。
母親として
あたしに
合わせる顔がないとも……
だけど必ず
話をしに来るって
そんな
内容だった。
制服に着替えて
身支度を済ませて
いつもなら
洗濯
掃除
朝ごはんの支度をするんだけど。
年寄りの朝は
もっと早いらしい。
二ノ宮病院の
看護婦長さんだった
バリバリ元気な
おばあちゃん
あたしの顔をみるなり
にやりと笑われた。
「おや、まあ〜
似てるねぇ〜」
ひひっと笑ってるけど
「誰に?」
聞いてみると
真面目な顔をして
「あんたのお母さん」
澄ました顔をして
台所に連れて行かれた。
お母さんとは
似てるとは
言われるけど
そこまでは……
少し似てるって程度なんだけどな。
お年寄りは視力が弱いと
言うからね。
味噌汁に
焼き魚に
納豆
生卵
旅館の朝食のような
朝ごはんが
全て整えられて
テーブルに
座らされた。
両手を合わせようとして
キンコーン
くぐもったような
玄関のベルの音がした。
おばあちゃんと一緒に
玄関に行く。
ガラガラ引き戸を
開けて
黒崎の姿が見えた。
「おはようございます、
あの…彩香さん……迎えに来た……」
恥ずかしそうに
おばあちゃんと
あたしの顔を見比べる。
「おや、まあ〜、
あんた、朝ごはんはちゃんと食べたのかい?」
「早すぎるよ、黒崎、今からご飯だよ?」
「いえ、俺はいつも、朝食は食べないので……」
まるで
必要ないとばかりに
きっぱり言うけど。
「ダメだよ、それは、朝ごはんは基本だよ?」
おばあちゃんの
しわしわの手が
黒崎の腕を掴む。
「いえ、あの、俺は、朝はあんまり……
はいらないので……」