
委員長はエッチでした
第6章 天使の笑顔
翌朝
黒崎はまた
家まで
あたしを
迎えに来てくれて
一緒に朝御飯を食べて
一緒の自転車に乗って
学校に行く。
あたしの
勘違いじゃない
黒崎が
何だか
よそよそしいの。
無口なのは
いつもの事
だけど
変に
あたしから
距離感をとってるみたいで……
あたしが近付くと
するりと
距離を取られる
いつも以上に
目を
合わせてくれない。
自転車で
二人乗りをして
密着して
抱きしめているのに
なんだか
遠くて
胸が痛くて
ぎゅっと
力を込めた。
「……彩香さん、そんなにしたら、
こぎづらいよ……?」
「やだっ!」
黒崎の背中に
ピタリと
頬を寄せて
すりすりしてしまう。
「……っ」
黒崎の背中が震えて
強ばるように
力が入った。
「大好き……」
「……俺も、好き」
走らせる自転車
風に消え入りそうな
黒崎の声は
確かに
あたしの
耳に届いた。
聞き間違いじゃない
確かに
言ってくれた。
まるで
魔法の言葉みたいに
あたしの心に
じわりと
広がって
胸が
熱くなるの。
「本当に?」
「本当……っ、彩香さんこそ、何で俺なんか……ッ」
「だって好きなんだもん、理由なんかない、
ずっと黒崎を見てたし」
背中から伝わる
黒崎の暖かい体温。
どうして
この背中は
ぴったりと
あたしの体に
しっくりと
馴染んでしまうんだろう。
それだけで
幸せだと思うのに。
足りない。
「俺だって、ずっと、見てたから……」
「じゃあ、もっと、ぎゅっとしてっ?」
「……やっ、あの、自転車、こいでるから
……ッ」
「じゃあ、後でっ」
「……じゃあ、昼休みに……」
そんな約束をして
学校に着いた。
いつも通りに
教室に入って
みんなと
挨拶を交わして
啓介がふと
眉根を寄せて
あたしの耳元に
囁いた。
「また、なんか、あったか?」
「えっ、なんで?」
ギクリとしながら
笑ってると
啓介の顔が
真面目な鋭いモノに変わる。
「……ったく、手が掛かるな、お前らは、
聞いてやるから、コーヒー奢れよ?」
