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PH山田の伝説

第14章 作られていた女

居酒屋に着くと自転車を停めて一人で店内に入った

すると俺を出迎えたのは佐々木さんだった 俺は一人様の個室に通された

その時ふと首元を見るとキスマークの様なアザがあった 俺は心の中ではこの女と思いながらも平然を装った

「ご注文はお決まりですか?」

「じゃあ取り敢えずコーラで」

「かしこまりました」

俺はアザについて聞こうかと思ったがまだ早いと自分の気持ちを押し殺して待った

すぐにコーラが運ばれて来る これは違う店員が持ってきた 俺はひとしきりの物を注文した

次は行かなければと思いながらチャンスを待った

それから幾つかの料理が運ばれて来たが一向に佐々木さんは姿を現さなかった
俺はすでに今日はノーチャンスなのではと諦めかけて居た

しかし俺の予想を軽く超えてチャンスはやって来た

次が最後の一品だった

「失礼します ご注文は以上でよろしいですか?」

俺は軽く手を上げて大丈夫のサインを出した

そして佐々木さんが引こうとした時

「ところでそのアザ大丈夫?」

どう見てもキスマークだが俺は敢えて突っ込まなかった

「やっぱり目立ってます?」

「気にはなる位かな?」

そんな会話だけでこの日は終わってしまった

当然と言えば当然だが今日の素振りから見ても彼氏か男が居るのは明らかだった
俺は上手く立ち回れて居ない事に苛立ちさえ覚える程だった

会計を出してお店を出ると時刻は七時半過ぎ これから自転車で帰らないと行けないと言うのに空には暗雲が立ち込めて今にも雨が降りだしそうだった

俺は帰り足を早めたがやはりと言わんばかりに家まで後少しの所で雨が降って来た

結局ずぶ濡れになってしまった 俺は捨てられた子猫の様に震えながら家へと帰った

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