いとしいとしというこころ
第11章 まっさら
「和くん…
和くんは弟みたいなものだから…」
遠くから聞こえる。
わかってる。
そんなのわかってるよ。
でも違うじゃん。
もう違うって二人とも嫌ってほどわかってるんじゃないの?
「男だから?」
「…」
「翔にいの弟だから?」
「…」
「俺が子供だから?」
「…」
「なんで…
ダメなの…?」
「…」
雅にいは黙ったままだった。
もう何を言ってもダメなのかなぁ。
ぼんやりとそんなことを思った。
俯いてる雅にいの頭を見つめて涙がこみ上げてくる。
これは拒絶なの?
俺の想いも言葉もこの人には届かないんだ。
それがわかって。
悲しみに押し潰されそうになった。
足がうまく動かない。
でも今は立ち去ることだけしか考えられないから。
必死に体を動かすということに集中した。
早く部屋から出ないと。
今すぐここからいなくなりたい。