いとしいとしというこころ
第13章 この胸のときめきを
「和くんが好きなのに。
こんな悲しませて、傷つけて、
なにやってんだろ、って。」
俺の手を握ったまま、ゆっくりと歩き出すから引っ張られるみたいに足を出した。
「遅くなったら翔ちゃん心配するから。」
「はい。」
「ふふふ。素直だね。」
「はい?」
もうすぐ家だ。
もう少し歩いていたいけど。
まだ帰りたくないなぁ。
少し歩くスピードを緩めた雅にいが、
「和くん、好きだよ。」
「うん。」
「もう隠さないし、逃げない。」
「うん。」
一歩足を出す度に言葉をくれた。
「誰にも渡さない。」
「うん。」
「俺のこと…
好き?」
「好きに決まってる。」
雅にいは俺を見つめて泣きそうな顔をした後、
「和くん、ごめん。」
ぎゅっと握りしめた手を引っ張られてまた俺にキスをした。