いとしいとしというこころ
第6章 好き?
「好きだよ。
そう…好きな人なんだ。」
お酒が入ったからか、はたまた、誰かに聞いて欲しかったからか。
ううん。
大ちゃんなら黙って聞いてくれそうな気がするから。
受け入れて?くれそうな。
いや。
さすがにそれは難しいかもしれない。
でも少なくとも驚いたり引いたりしたとしても、すぐに普通に接してくれそうな器の大きさを感じたからだ。
「大ちゃん。聞いて欲しい。」
「んー?」
「好きな人…っていっていいのかな。
俺の心の中にいる人がいてさ。」
「うん。」
乾いた喉を潤したくてビールをひと口飲むと勢いをつけて言う。
「男の人…なんだよね。」
……
ちょっとした沈黙の後。
大ちゃんが笑いながら俺の肩を掴んだ。
「相葉ちゃん。
俺もそれは想定外だったなー。」
「引く…?」
「いや。別に。」
「ホント!?」
「好きになったらしょうがないもん。」
その淡々とした口ぶり。
でもやっぱり思ってた通りの器の大きさに大ちゃんの手を取って、
ありがとう、と何回もお辞儀をした。