いとしいとしというこころ
第2章 恋とは知らずに
「あの?」
「えっ?あっ!
ごめんなさい。
あの、この辺に櫻井さんってお宅があると思うんですけど…
知りませんか?」
その子は俺のことを覚えてないのか普通に素知らぬ顔で、
「わかります!
こっちですよ。」
そう言って一緒に歩き出した。
一本通りを間違ってたみたいですぐに俺も見覚えのある風景に。
もういいよ
そう言いたいのと、ちょっと一緒にいれて嬉しいのとか、あの時の…って話しかけたいのとか、頭の中でごちゃごちゃしてしまう。
そうしてると、
「あれ?」
俺の顔を見て、
「あの?
どこかで会いましたっけ?」
うんうん
ブンブン首を縦に動かして、
本屋で…
そう言いかけたところで着いちゃった。