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いとしいとしというこころ

第8章 友達の弟



黙りこくる俺に松潤が情けを出す。

「そんなわかりやすく落ち込むなって。
でもちょっと考えてみて。
翔くんの大事な弟に手なんか出せない、それは当然だろ。
俺たちの関係だって崩れかねないし。」

松潤の言ってることはわかる。

俺は頷いていた。

「雅紀が俺みたいに付かず離れずそばにいて見守るか、離れていくかは、わからないけどさ。」

俺にもわからない。

もうなにも考えられない。

なにに対してなのかわからないけど悲しかった。

ただ悲しかった。



松潤と別れてトボトボと歩く。

気づいたら涙が出てきて。

友達の弟を好きになったこと。

男同士だってこと。

それは普通に悩む材料ではあったけど。

それが気にならないくらいになってたから。

それくらい普通に自然に和くんを好きになってた。



好きになってた



それに気づいたから胸の奥が痛くて仕方がなかった。

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