テキストサイズ

1P短編集

第11章 気付き愛

 雨の中、私は一人。

 助けて──

 叫んでも君に届かない。

 分かってた。分かってたよ。

 だって君と私、他人同士。だけど、認めたくないじゃない? 辛いじゃない?

 だけどサヨナラ。分かってた。

 雨の中、君は笑ってた。私じゃない女の子の隣で。

 分かってた。私より好きな人が前からいたこと。

 分かってた。分かってた。分かってた。

 さようなら。もう耐えられないよ。君がいない世界。

 永遠にさようなら。私は君といた優しい思い出を胸に──

 そこで意識は途絶えた。




「よか……った」

「……?」



 目の前にはへたれな幼なじみ。

「ばかっ!! 何やってんだ。死んでなにになる? ばかっ……ばかやろう」

 何でこの人は必死なんだろう。ただの腐れ縁なのに。

「ばかはあんただよ。私なんかの為に泣くな。ばか」

「うっせえ。好きな女が死にかけたら泣くわ。ぼけっ」

 どきっ……。私の幸せ…この目の前のばか男に任せていいですか?


End

ストーリーメニュー

TOPTOPへ