1P短編集
第19章 バレンタイン
作成工程で割れたチョコレート。なのに今日はデート。作り直す余裕もないし、どうしよう。
結局、そのまま持ち出した。
楽しいデート。映画を見て、食事をして、プリクラを撮り、UFOキャッチャーや太鼓など、ゲーセンで遊ぶ。
帰り際。
「今日は楽しかったよ」
私は笑顔を彼に向ける。
「おお! 俺も楽しかった。なあ、なんか忘れてない?」
「ん? 何が?」
ドキリとしつつ、何も知らぬかのように装う。
「チョコレート。今日は、バレンタインだろ?」
「でも……」
「でも?」
「割れちゃったの。ハート」
私は鞄から取り出し見せた。
「いいから、ちょうだい」
「え?」
「そんなのいいんだよ。愛が詰まってて、一生懸命作ってくれたならさ。なっ?」
彼の言葉に私は頷き、無言で差し出す。
「ありがとな! ホワイトデー楽しみにしとけっ」
「うん! ありがとっ」
大事なことは型や綺麗さではない。その人のことを考え、どれだけ一生懸命したかということだ。
彼からそれを学んだ。バレンタインデーの夕方の出来事。
End
結局、そのまま持ち出した。
楽しいデート。映画を見て、食事をして、プリクラを撮り、UFOキャッチャーや太鼓など、ゲーセンで遊ぶ。
帰り際。
「今日は楽しかったよ」
私は笑顔を彼に向ける。
「おお! 俺も楽しかった。なあ、なんか忘れてない?」
「ん? 何が?」
ドキリとしつつ、何も知らぬかのように装う。
「チョコレート。今日は、バレンタインだろ?」
「でも……」
「でも?」
「割れちゃったの。ハート」
私は鞄から取り出し見せた。
「いいから、ちょうだい」
「え?」
「そんなのいいんだよ。愛が詰まってて、一生懸命作ってくれたならさ。なっ?」
彼の言葉に私は頷き、無言で差し出す。
「ありがとな! ホワイトデー楽しみにしとけっ」
「うん! ありがとっ」
大事なことは型や綺麗さではない。その人のことを考え、どれだけ一生懸命したかということだ。
彼からそれを学んだ。バレンタインデーの夕方の出来事。
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