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1P短編集

第18章 はじまりは壁ドン

「おまえ、いい加減ナメテんの?」

「あの……田崎さん、これって壁ドンってやつですか?」

「あ゛っ?」

 普段は温厚な上司の田崎さん。目の前の田崎さんは誰なのだろうか?

「なあ、おまえ、そんなに俺のこと好きなの?」

 田崎さんは、何故かネクタイを緩めて、眼鏡を外す。私が思っていたより華奢で睫毛も長い。

「え、いや。なんでいきなり……」

「そんな顔で見ても許さない。ってか誘ってんの?」

 そう言ったかと思うと田崎さんの突然のキス。


「んあ? えっ?!」

「もう許さない。悪い子にはお仕置き」

「意味分かんないんですが…?」

「分からせてやる」









 そのあとのことは分からない。ただ、私はこの日を境に田崎さんの虜になってしまう。

 今までのミスは本気のミス。今日のイージーミスはわざと。

 さあ、今宵も私に貴方のお仕置きを――。

End.

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