その瞳は誰を見てるの?
第3章 その瞳は誰を見てるの? 3
潤のマンションに寄ってから、現場へ向かってもらう。
今日は移動車の中で、潤は俺の手を離さない。
しあわせ……
今朝の言葉の裏には、不安が渦を巻いているのだろう。
じっと俺を見つめている潤。
気持ちを切り替え、楽屋のドアを開けた。
「ぉはよっ…」
「うぃっす…」
珍しく智くんが先に入っていた。
いつもと変わらぬ笑顔。
違う…違和感がある。
ナニを考えている?
ナニかしようとしてる?
智くんが潤に近付く。
「おはよ…松潤!今日はしょおくんちから?」
「そうだけど…」
無表情な潤とは対照的な、明るすぎるぐらいの智くん。
「そっか…相変わらず仲イイよねぇ~妬けちゃうなぁ~このこのぉ~!」
そう言いながら、潤にじゃれつく智くん。
なんとも言い難い、複雑な表情を浮かべる潤。
「ほらほら、お二人さん!おしゃべりしてる暇はないよっ!」
「そそ、時間ですっ!早く行かないとね?」
雅紀とにのが促す。
潤と智くんを引っ張って、雅紀が出ていった。
にのが俺の方に向き直り、口を開いた。
「何があったのか知らないけど、酷い顔色してますよ?翔さん…1日で人ってこんなにやつれられるのかってほど……」
「大丈夫。心配かけてわりぃ。なんでもないから。」
「んな訳ないでしょ?そんな顔してさ?」
「……俺の…問題だから……いや…なんでもね……」
「翔さん…」
俺を気にしながら、にのは静かに楽屋を出ていった。