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その瞳は誰を見てるの?

第4章 その瞳は誰を見てるの? 4




愛おしい人を抱いた。


愛おしい人を裏切って。



俺の隣では、智くんが静かな寝息を立てて眠っている。

思わず綺麗な寝顔にそっと触れてしまう。

潤のことも想い浮かべながら。


最低…最悪だ……


心も体も、尋常じゃないってざわめいている。

でも…今は俺、この人のモノなんだ。



携帯が震えたのに気付く。

こんな時間に着信か?


潤っ……


静かに部屋を出た。

深呼吸をする。


「お疲れ…どうした?」

「ごめんね、こんな時間に……まだ起きてるかなって……
 声、聞きたくなっちゃった……」

「そっか…大丈夫だよ…起きていたから…」

「翔さん…?逢いたい…逢いたいよ……」

思わず息を飲んだ。


「嘘…逢いたいのは本当だけど我慢する!こんな時間だしね?
 明日…って、もう今日だね!早く終わるよね?そのあと…部屋に行ってもいい……?」

「…ああ、もちろん……」

「やった!楽しみにしてるっ!!
 じゃ、おやすみなさい…翔さん」

「おやすみ…潤……」


重い足取りでベッドルームに戻る。

相変わらずの綺麗な寝顔の智くん。



はぁぁ………



今日も眠れなかった。


酷い顔……にのに何か言われそうだ。



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