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その瞳は誰を見てるの?

第7章 その瞳は誰を見てるの? 7



~S side~



潤が帰った静かな部屋。

ひとりきりになると、物凄い罪悪感に襲われる。

恐怖すら感じる、この罪悪感。


ふたりを愛し続け、ふたりを裏切り続ける。

潤も智も手離すことはできない。

でもこれは俺のエゴなんだ。


智くんは潤のコトを承知の上で……

こんなに辛くて酷いことを俺はさせている。


潤は……あいつ、気付いているのかもしれないな。

でも、俺を信じると。


ヤバイ……ふたりが傷だらけになってしまう。

その前に俺はどうすれば……?



そう、単純なこと。


ふたりと、


離れればいいんだ。



ああ……カラダの震えが……止まらない………




今日は5人の現場。

ごく普通に始まるあいさつ、準備。

ごく普通に始まる収録。

休憩中も特に変わったこともない。


ただ1つ、いつもと違うのは、俺が潤と智くんとは一言も言葉を交わしていないということだけ。

なんとなく、にのの方に寄っていくようにしている。

今日はにのとの絡みが多いから、不自然なことではないだろう。


ごく普通に再開する。


終了。



乗り切った……バカみたいにヘトヘトだ。

またもや楽屋のソファーに沈み込む。


今朝の状態では現場に来ることすらできないのではないかと思っていた。

忘れられない。

あの、ココロとカラダの震え。

まだ感覚が残っている。


呼吸が速くなり、カラダが小刻みに震え出す。


ふたりを失うことへの哀しみ、痛み、恐怖、全てに襲われた……



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