その瞳は誰を見てるの?
第7章 その瞳は誰を見てるの? 7
どれぐらい泣いていたんだろう。
30年生きてきて、こんなに泣いたのは初めてだと思う。
人の体には、どんだけの涙が入ってるんだよ。
そういえば楽屋に誰も入って来なかったな。
いつもはバタバタしているのに……
これも、にのの計らいなのかな……
はぁ……疲れた。
心身ともに疲れた。
動く気になれない。。
コンコンコンっ
ドアをノックする音。
やべっ…
「あっ、はいっ!」
静かにドアが開いた。
「しょおくん…?」
「智…くん……」
「大丈夫…じゃないよね……辛かったよね……」
「やめて…今、そんなこと言わないでよ……」
ゆっくり近づく智くん。
「しょおくん…いいよ…辛いのおいらにぶつけて……」
「なに言ってんだよ!本当に辛いのは智くんと潤だろ?
俺はいいんだ…俺が悪いんだから……」
「誰が悪いって言ったの?誰かに言われたの?
だぁれも悪くないんだよ…好きになっちゃったんだもん、しょうがないじゃない…?」
「でも俺は…智と潤、ふたりとっ……」
「それでいいって、何度言ったらわかるの?
おいらは今のしょおくん全部がすきなんだよ……」
そう言って、ぎゅっと抱きしめてくれた。