その瞳は誰を見てるの?
第7章 その瞳は誰を見てるの? 7
智くんの胸に抱かれたまま呟いた。
「潤は…何も知らない……あいつの気持ちを思うと、堪らなくなる……」
「しょおくんは松潤のこと愛してるって言ってた。それは嘘?」
「嘘じゃない…愛して…る……」
「じゃ、おいらのことは…?」
「愛してる……ズルいよな……こんなコトあっちゃいけないんだよ……」
未だ、智くんの胸から離れられない。
「いけないって、世間一般論だよね?おいらは言ってない。」
「でも潤は……あいつの気持ちは……」
「確かめてみる?」
「えっ…いや…絶対に傷つけてしまうよ……
あいつ、普段はあんなんだけど本当は繊細だから……」
「ふふっ…ほんとに松潤のコト、心配なんだね。おいらに抱かれてるのに……妬けるなぁ……」
「智…くん……」
「とりあえず今日はもう帰ろう、しょおくん!」
ようやっと離れたふたり。
車の中。
智に凭れボーッとしている。
握った手は離さない。
俺はずるい……潤の手も離さなかった。
どうしても愛してる……智も潤も……
「ねぇ、智くん?我が儘言ってもいい?」
「言いなよ…」
「今夜、家に来てくれないか……?
傍に…傍にいてくれるだけでいいんだ……」
「いいよ…朝まで一緒にいよう……」
「ごめん…勝手なことばっかで……」
智くんは黙って俺の額にキスをくれた。